「序詞ってなに?」
このように聞かれたとき、
意味を説明できますか?
日常生活では馴染みがなく、
説明するにも難しいものです。
そこでこの記事では、
序詞(じょことば)とは何か?
序詞の意味や序詞と枕詞の違いについても
簡単にわかりやすく解説していきます。
序詞(じょことば)とは何か?【意味を簡単にわかりやすく解説】
序詞の意味として、
辞書には次のように記載されています。
■序詞(じょことば)
主として古代の和歌などに用いられた修辞法の一種。
論理的には本旨と無関係に、ある一語または一句だけを修飾するために、その語句の前におかれる修飾語句。
機能は枕詞に似るが、序詞は通常2句以上にわたり制限がない。
なるべく簡単な言葉で
意味をわかりやすく解説していきます。
↓
序詞とは何か?簡単に説明すると
主に和歌に見られる修辞法です。
修辞法とは
適切に使うことで語を整えたり、
情景を思い浮かばせるような美しい表現を与える技法のことをいいます。
そのため
語を引き出すために特定の語の前に置いて
比喩や掛詞としての役割や韻を踏む働きをします。
言葉の長さや
対になる語句に決まりがないため、
作者が自由に創作することができます。
序詞の種類
序詞には2種類の型が見られます。
- 有心の序(うしんのじょ)
- 無心の序(むしんのじょ)
有心の序(うしんのじょ)
有心の序(うしんのじょ)とは
意味でつながる序詞のことです。
例として、
柿本人麻呂が詠んだ和歌を挙げます。
「み熊野の浦の浜木綿百重なす
心は思へど直に逢はぬかも」
この歌の序詞は「百重なす」です。
「幾重にも重なり合っている」というような意味を持ちます。
そうすると、
「浜木綿が幾重にも重なり合っている」
といった解釈することができます。
また、
「百重なす」は後半部分にも意味をつなげており、
「心であなたのことを幾重にも思っている」
といったことも意味しています。
このように序詞1つで
2つの文の意味を結びつける働きをします。
無心の序(むしんのじょ)
無心の序(むしんのじょ)とは
発音でつながる序詞のことです。
例として、
中納言兼輔が詠んだ和歌を挙げます。
「みかの原わきて流るる泉川
いつみきとてか恋しかるらむ」
この歌の序詞は「みかの原わきて流るる泉川」です。
序詞の「泉川」の「泉(いつみ)」の部分と
そのあとに続く「いつみきとてか」の「いつみ」の音が重なっています。
このように同じ音を反復させることで
意味を結ぶだけでなく、
歌のリズムを整えるような働きをします。
序詞と枕詞の違い
主に和歌に用いられる修辞法として、
序詞と枕詞は同じような働きをします。
では2つの違いとはなんでしょうか?
以下にまとめました。
序詞の特徴
- 音数に制限がなく、2句以上3、4句に及ぶものもある
- 和歌の本来の歌意とは異なり、別の意味を持つ
- 特定の語を導く
➜比喩や掛詞で導く(~のように)、同音・類音で導く(~ではないが)
枕詞の特徴
- 主に5音で、初句か3句に用いられる
- 枕詞には意味がなく解釈はしなくてもよい
- 特定の語の前に置かれるため表現が定型化されている
まとめ
序詞には決まったパターンがなく、
歌人の独自のセンスによって生まれた言葉です。
日常的に使われることはないですが、
1つの語で2つの意味を持ったり、
歌を美しくまとめリズムをとるような働きは
現代のラップの歌に近いように感じます。
始めのうちは
序詞を見つけるのは難しいかもしれませんが、
いろいろな和歌を詠みわかってくると面白いですよ。