ごまは、ほんのひと振りで料理の景色を変える、小さな名脇役です。
白ごまのやさしい香ばしさ、黒ごまの深い風味、金ごまの濃厚な香り。同じ「ごま」でも、焙煎や加工方法、作り手によって個性は大きく変わります。
日本各地には、ごまと長く向き合ってきた老舗メーカーや、希少な国産ごまを育てる生産者がいます。
この記事では、三重・京都・栃木・大阪・埼玉から、それぞれ特色のあるご当地ごまを5商品紹介します。
ここでいう「ご当地ごま」には、その地域で栽培されたごまだけでなく、その土地に本社や製造拠点を置くメーカーの商品も含みます。原料の産地については「国産」と「国内製造」を分けて見ることが大切です。

日本のご当地ごまおすすめ5選
三重|九鬼産業 星印 いりごま白 500g×2袋
三重県四日市市で1886年に創業した九鬼産業は、ごま製品を専門に手がける老舗メーカーです。現在も本社・工場を四日市市に構えています。
「星印 いりごま白」は、厳選したごまを精選・水洗いし、ほどよく煎り上げたシンプルないりごま。500g入りのチャック付き袋なので、和え物、麺類、丼、サラダなど、ごまを日常的に使う家庭にも向いています。
派手さよりも使いやすさ。台所に置いておくと、気づけば何度も手が伸びるタイプの白ごまです。
京都|山田製油 京都へんこ山田 炒りごま(白)50g
京都らしい「職人仕事」を感じられる一品が、山田製油の炒りごまです。
職人が一釜ずつ直火で焙煎し、その日の天候や湿度、ごまの状態を見ながら炒り具合を調整。決まった時間どおりに機械で焼くのではなく、ごまの表情を見ながら香りを引き出しています。
50gと使い切りやすく、ごま和えはもちろん、うどん、そば、おひたし、ちらし寿司などにも好相性。
料理の最後にぱらりとかけるだけで、湯気の中に香ばしさが立ち上がります。
栃木|波里 香りよい すりごま 金 600g
栃木県佐野市に本社を構え、足利市には胡麻工場も持つ波里。米粉のイメージも強いメーカーですが、胡麻の製造加工販売も事業の柱のひとつです。
「香りよい すりごま 金」は、自社工場で直火焙煎したごまを使用した大容量600gタイプ。すでにすってあるため、袋を開けてすぐに豊かな香りを料理へ加えられます。
ごま和えやドレッシング、担々麺、鍋のたれ、お菓子作りなど、すりごまを頻繁に使う家庭なら特に使いやすい商品です。
金ごまらしい存在感のある風味を、惜しまずたっぷり使いたい人に向いています。
大阪|和田萬商店 国産黒いりごま 30g
大阪で1883年に創業した和田萬は、国産ごまに力を入れている老舗のごま専門メーカー。本社は大阪市北区、工場は大阪府八尾市にあります。
こちらは国産の黒ごまを使った、30g入りの黒いりごまです。
黒ごまは白ごまより風味がやや強く、ほのかな苦みを持つのが特徴。ごはん、おにぎり、和え物はもちろん、黒ごまプリンや黒ごま団子などの甘味にもよく合います。
白い料理に散らせば、味だけでなく見た目にもきりりとしたアクセントを加えてくれます。
埼玉|香胡園 金ごま 埼玉県日高市産 いりごま2セット
「土地で選ぶごま」という意味では、今回の5商品でも特にご当地感が強いのが香胡園です。
香胡園では埼玉県日高市で金ごまを栽培。自然栽培による国産金ごまの生産から商品開発・販売まで取り組んでいます。
金ごまは料理に少量加えるだけでも香りが立ちやすく、冷奴やおひたし、炊きたてのごはんなど、素材の味を生かすシンプルな料理にもおすすめ。
何種類もの調味料を足すのではなく、ごまそのものの香りを味わいたい人に選びたい一品です。
「国産ごま」と「国内製造」は同じ意味ではない
ごま選びでぜひ知っておきたいのが、「国産」と「国内製造」の違いです。
たとえば原材料欄に「いりごま(国内製造)」と書かれていても、それだけでは、ごまの種子そのものが日本で栽培されたことを意味しません。
消費者庁によると、加工された原材料の場合、「国内製造」はその加工食品が日本国内で製造されたことを示す表示です。原料となった生鮮食品まで国産という意味ではありません。
原料から日本産のごまを選びたい場合は、「国産ごま」「埼玉県産」「栃木県産」など、原料そのものの産地表示を確認するのがポイントです。
今回では、香胡園の金ごまは埼玉県日高市産。和田萬商店の商品も原材料に国産黒ごまを使用しています。
一方、九鬼産業や山田製油、波里の商品については、その地域を代表するメーカー・製造者として紹介しています。
白ごまと黒ごまはどう使い分ける?
白ごまと黒ごまは色こそ大きく異なりますが、栄養成分には大きな差がないとされています。一方、料理で感じる風味には違いがあります。
白ごまはナッツを思わせる甘みと香ばしさがあり、料理を選びにくい万能型。ごま和え、きんぴら、麺類、サラダなど、幅広く使えます。
黒ごまは白ごまより風味が強く、ほのかな苦みが特徴です。料理のアクセントとしてはもちろん、牛乳やあんこ、アイスなど甘いものと合わせても存在感があります。
どちらか一方を選ぶというより、白は日常使い、黒は香りと色を効かせたい料理、と使い分けると便利です。
いりごまとすりごまは料理によって使い分ける
ごまは「粒のまま使うか」「すって使うか」でも印象が変わります。
いりごまは、噛んだ瞬間のプチッとした食感が魅力。おにぎり、丼、サラダ、麺類など、仕上げのトッピングに向いています。
すりごまは、ごまをすることで香りと風味がより広がります。一方で、細かくするほど粒ならではの食感は少なくなります。
ごま和え、たれ、ドレッシング、汁物にはすりごま、食感を残したい料理にはいりごま、と覚えておくと使い分けやすくなります。
ごまは大容量ほど得とは限らない
ごまは乾物なので長く置けそうに見えますが、魅力の中心は何といっても香りです。
たくさん使う家庭なら500gや600gの大容量商品は便利ですが、ときどき料理に振りかける程度なら50g前後の小袋も選択肢になります。
開封後は袋をしっかり閉じ、直射日光や高温多湿を避けて保管するのが基本です。九鬼産業や波里も、商品を直射日光・高温多湿を避けて保存するよう案内しています。
安さだけで大袋を選ぶより、「香りが生きているうちに使い切れる量」で選ぶ。そのほうが、ごまのおいしさを最後まで楽しめます。
日本各地のごまを食べ比べてみよう
ごまは小さな食材ですが、その一粒の向こう側には、焙煎職人の技や長年続くメーカーの歴史、国産ごまを育てる農家の仕事があります。
毎日の料理に気軽に使うなら三重の九鬼産業、職人の直火焙煎を楽しむなら京都の山田製油、大容量のすりごまなら栃木の波里、希少な国産黒ごまなら大阪の和田萬、産地までこだわるなら埼玉の香胡園。
いつものごはんにひと振りするだけだからこそ、少しだけ「どこの、誰が作ったごまなのか」に目を向けると、食卓の楽しみが一段深くなります。
